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不眠症の診療案内

不眠症とは

寝たいのになかなか寝付けない、夜中や早朝に目が覚めてしまう、寝付きはしたものの疲れが取れない…皆様もこの様な夜を一度は経験した事があるのではないでしょうか。

良い睡眠が取れていないと、疲労が溜まったり集中力が続かずに日中に眠くなったりと日々の生活に大きな影響をきたします。何日も眠れない夜が続けばなおのこと深刻で、「不眠症」として時には治療が必要となります。

こちらでは不眠症とは何か、その診断と治療はどのように進められるのかを解説していきます。

不眠症の定義

不眠症は眠れない日がしばしば見られて一定期間続く場合に診断されます。日本では不眠症を以下の3つに分類し、それが週に2夜以上、1ヶ月続く場合を不眠症と定義しています。

  • 入眠障害 …なかなか寝付けない
  • 中途覚醒 …夜中に途中で目覚めてしまう
  • 早朝覚醒 …朝早くに起きてしまう

 (以前は更に熟眠障害が加わっていました)

アメリカ精神医学会が発行しているDSM-5でも同様に、睡眠の問題や日中への影響が週に3夜以上、3か月以上続く事を定義としています。

不眠症のチェックリスト:アテネ不眠尺度(AIS)

不眠症のチェックとして、世界保健機関(WHO)が作成したアテネ不眠尺度(AIS)が用いられます。0~18点の間で6点以上は不眠症が疑われ、日常に支障があれば早めに医師に相談する事をお勧めします。

不眠にまつわるデータ:5人に1人が不眠に悩む社会

睡眠は生活に欠かせない要素であり、悩みを抱えている人は少なくありません。厚生労働省の国民健康・栄養調査では、2019年度の調査では実に69.1%の人が睡眠に問題を抱えていると回答しています。また、平均の睡眠時間が6時間未満の人は39.1%であり、日本人の睡眠事情は危ない状態にあると言えます。

不眠の原因

不眠の原因は様々で、生活習慣を直せば改善するものから治療が必要となるものまであります。原因を正しく整理して適切な対処をすることが重要です。

  1. 心理的な要因…不安や悩み事、気の高ぶりなどが原因で眠れなくなるケースです。
  2. 生理的な要因…昼夜逆転などの生活習慣や、暑さや明るさといった就寝時の環境によるものが該当します。
  3. 身体的な病気によるもの…病気による痛みやかゆみ、咳、息苦しさなどの症状が睡眠を妨げているケースです。
  4. 精神的な病気によるもの…うつ病や不安障害、統合失調症などの精神疾患は不眠を伴うことが多いとされます。
  5. 薬などの効果によるもの…内服薬の副作用などが原因となるケースです。アルコールやカフェイン、喫煙などで眠れなくなる場合もこちらに該当します。

また、2019年度の国民健康・栄養調査では睡眠の妨げとなっている要素に関して、「仕事」18.3%、「就寝前のスマホ・ゲーム」12.2%、「健康状態」11.6%と報告されています。

不眠症の診断

不眠症の診断はDSM-5などの基準を元に、問診を中心に行われます。まずはどのように眠れないのか、どのくらいの頻度で起こるのか、何時に寝て何時に起きるかを整理します。その上で他の睡眠障害を除外し、原因となる事柄や病気がないかを調べます。

睡眠時無呼吸症候群などが疑われる場合には、終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)を行うことがあります。装置をつけて一晩眠っていただき、脳波や呼吸、心電図などから睡眠の深さや無呼吸の程度を調べて、治療方針の決定に役立てます。

不眠症の治療

不眠の原因に他の病気があればまずはそちらの治療が優先となります。不眠症状に対しての治療は主に非薬物治療(睡眠衛生指導)と薬物治療に分けられ、最終的には薬に頼らずとも快適な睡眠が得られる生活習慣を整える事を目的として進めていきます。

非薬物治療:睡眠衛生指導

人の体には元々、昼間活動して夜眠るといった一日の生活リズムを作り出す機能(概日リズム)があり、それによりスムーズな就寝を可能としています。睡眠衛生指導では不眠の原因となる生活習慣を改善していきます。

  • 睡眠時間 …日中に眠気が残らない事が大事です。入眠時間や睡眠時間にこだわりすぎると焦りでかえって寝付けないので、あまり深刻に考えずに眠くなったら寝るようにする事が重要です。
  • 運動 …定期的な運動、特に夕方から夜にかけての時間帯の運動はスムーズな入眠に繋がります。
  • 飲食 …規則正しい食生活を送りましょう。就寝前の夜食も空腹も良くないので、就寝の3時間前までに済ませるのが理想的です。就寝前に水分を取りすぎると夜中にトイレで起きることになるので注意しましょう。
  • 入浴 …就寝の1~2時間前までに済ませましょう。40℃程度のお湯に浸かる事でリラックス効果があり、神経の働きを整えて寝つきやすくなります。
  • 嗜好品 …カフェインは4時間効果が続くので就寝時間を考慮して摂取しましょう。アルコールは入眠が早くなりますが睡眠が浅くなるので、結果として翌日に疲れが残りやすいので逆効果です。喫煙はニコチンの神経刺激作用で眠れなくなるので就寝前1~2時間は控えましょう。
  • 寝室環境 …寝る際の明るさや音、室温や湿度などが該当します。快適に寝るために部屋周りや寝具を整えましょう。
  • 起床 …毎朝決められた時間に起きる事で一日のリズムを作っていきましょう。起きたら日光を浴びる事で体内時計がリセットされるので、そちらも意識して行いましょう。

薬物治療

睡眠薬は主にベンゾジアゼピン系かそれ以外の2つに分けられ、それぞれの長所と短所を考慮して決めます。ベンゾジアゼピン系は多くの人に効きますが、長期的な服用は副作用や薬物依存のリスクがあります。使用する場合は3剤以上のベンゾジアゼピン系薬剤を使わない、症状が緩和したら徐々に減量していくことが重要です。効果や副作用から薬が合っていないと判断した場合は別の薬に切り替えて治療を行います。

睡眠薬の副作用としては、日中の眠気、ふらつき、転倒、服用後の記憶障害、頭痛、吐き気、便秘などがあります。最新の薬は副作用が出にくいものも多く、またこれらの症状は睡眠薬が体内に残っている時に起こるもので後遺症となるものではありません。睡眠薬には

不安を抑える効果や睡眠自体による体力回復が期待できるので、用法を守れば安全に十分な効果を得られる治療法です。

不眠症で悩んだらMIZENクリニックへ

不眠症を改善するには継続した治療が必要です。しかしながら働く世代の方々を中心に、日常の忙しさから医療機関に受診する時間を確保できない事も多く、不眠に悩みながらも未治療の方が多くいらっしゃいます。MIZENクリニックでは平日夜18時から22時の夜間診療でサポートをしております。不眠にお困りでしたら是非一度当クリニックにご相談ください。

<参考:不眠症と睡眠障害の違いについて>

不眠症と似た言葉に「睡眠障害」があります。こちらは不眠だけではなく、睡眠に何かしら問題がある状態を示します。

最新の国際分類であるICSD-3では睡眠障害を7つに分類していて、不眠症はその1つと位置付けられています。

<ICSD-3 睡眠障害分類>

  • 不眠症
  • 睡眠関連呼吸障害…睡眠時無呼吸症候群など
  • 中枢性過眠症…ナルコレプシー、特発性過眠症など
  • 概日リズム睡眠・覚醒障害…睡眠相前進/後退障害など
  • 睡眠時随伴症…寝ぼけ、夜間尿、歯ぎしり、悪夢など
  • 睡眠関連運動障害…レストレスレッグ症候群、周期性四肢運動障害など
  • その他の睡眠障害

<参考:不眠にまつわる睡眠障害・病気の例>

1.レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群):日本の成人の2~4%
夕方から夜間にかけて脚を中心として「ムズムズする」「痛がゆい」「じっとしていると不快といった感覚が表れる病気。動かすと一旦は消えるものの、じっとしていると再び出現するので脚を動かさずに安静にしていられない。

2.睡眠相後退障害:高校生の0.4%
主に10~20代にみられ、就床時刻にかかわらず一定時刻にならないと入眠できず、いったん眠ると7~8時間以上眠り、起床するべき時間に起きるのが難しい状態。

3.周期性四肢運動障害:成人の1~3%
睡眠中に脚が無意識に繰り返し動き、それにより夜中に目覚めてしまう(中途覚醒)。

4.睡眠時無呼吸症候群:成人の2~4%
寝ている間に何度も呼吸が止まる病気で、大きないびきや日中の酷い眠気が特徴的。呼吸が止まることで脳や心臓に負担がかかり、高血圧や糖尿病、更には心筋梗塞や脳卒中のリスクを大きく上げるので早急な治療が必要となる。

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「MIZENクリニック」は、『働く人のための夜間診療内科』をコンセプトに、平日の夜17時30分から21時30分まで診察しております。 多様な専門性と診療方針の医師が、風邪などの日常病や、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をはじめ、喘息、風邪、不眠、メンタルヘルスなどお困りごとに対して幅広くご対応させて頂きます。

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