CPAPとは何か?
通常、人間は夜寝ているときも絶えず呼吸をしているのですが、何らかの原因で夜寝ているときに何回も呼吸がとまってしまう方がいます。夜に呼吸が何回もとまってしまう病気を「睡眠時無呼吸症候群」と言います。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure、シーパップ)とは、圧力をかけた空気を鼻から喉に送ることで睡眠時にもしっかりと呼吸をできるようにする治療法です[1]。多くの研究によって、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAPの効果が証明されています。CPAPには空気を送り出す本体、空気が通るチューブ、鼻に当てるマスクの3パーツがあります。寝る前にマスクを装着するだけで良いので、特殊な手順は必要ありません。
CPAPのメリットとは?
CPAPを使うことで得られるメリットは、大きく3つあります。
日中の眠気が改善される
睡眠時無呼吸症候群の方は夜寝ているときに何度も呼吸が止まっているため、深く眠れない・苦しくて夜中に何度も目が覚める、という症状が出ることが少なくありません。その結果、睡眠時間をしっかりと確保したつもりでも、質の良い睡眠は得られていないため、日中の眠気が生じることがあります。CPAPを使い睡眠時の呼吸が改善されると日中の眠気の改善が見られる、という研究が報告されています[2]。
交通事故や労働災害のリスクが下がる
睡眠時無呼吸症候群の方は日中の眠気のため注意力や集中力が低下し、その結果交通事故や労働災害にあうリスクが約2.6倍にも上る、という研究結果があります[3]。さらにその研究によると、CPAP治療を開始した2年後の調査では事故率が半減したとの結果が出ています。このことから分かるように、CPAPを使うことで生活を守ることができるでしょう。
高血圧を改善することができる
睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAP治療を開始すると血圧を下げることができる、と報告している研究があります[4]。こちらの記事で解説している通り収縮期血圧が10mmHg上昇すると、脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%上昇すると言われていることから、CPAP治療によって心筋梗塞や脳卒中などの致命的な病気になる可能性を減らすことができるでしょう。
CPAPのデメリットとは?
CPAPにはデメリットもあります。
装着時の違和感
マスクを着けて寝るという特性上、どうしても最初は違和感があると感じる方が少なくありません。こちらは徐々に慣れていく人が多いです。
根本的な治療ではない
CPAPはあくまで空気を送っているだけであり根本的な治療法ではありません。症状を和らげるためには、出張や旅行など外泊するときも使い続ける必要があることから、荷物になると感じる方が多いです。しかし最近は機械が以前に比べて軽量・コンパクトになっていることから、こちらのデメリットは徐々に解消されつつあります。
CPAPの利用条件と方法とは?
実際に「CPAPを使いたい」となったときはどうすればよいのでしょうか。実はすぐに使えるというわけではなく、まずCPAPを保険で使えるかどうかを確かめるために検査が必要となります。こちらの検査は病院でも自宅でも可能です。
検査の結果CPAPを保険で利用できる場合は利用を開始します。MIZENクリニックでCPAP治療をする場合、月1回の通院治療とレンタル料、合わせて月5000円くらいの費用になります。CPAPの機械を自費で購入するという方法もありますが、機械自体が30万円以上し、別途メンテナンス代もかかるためお勧めしません。また、CPAPは基本的には使い続ける必要があることからも、クリニックでの通院治療が推奨されます。
日中の眠気や集中力低下に悩んでいるときは、まずは受診を!
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参考文献
1.https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q32.html, 一般社団法人日本呼吸器学会
2.Marshall, N. S., Barnes, M., Travier, N., et al.:Continuous positive airway pressure reduces daytime sleepiness in mild to moderate obstructive sleep apnoea:a meta‒analysis. Thorax, 61(5); 430‒434, 2006
3.Rodenstein D. Sleep apnea: traffic and occupational accidents–individual risks, socioeconomic and legal implications. Respiration. 2009;78(3):241-8.
4.Picard F, Panagiotidou P, Tammen AB, Wolf-Pütz A, Steffen M, Gerhardy HJ, Waßenberg S, Klein RM. Nocturnal blood pressure and nocturnal blood pressure fluctuations: the effect of short-term CPAP therapy and their association with the severity of obstructive sleep apnea. J Clin Sleep Med. 2022 Feb 1;18(2):361-371.