糖尿病患者の大半を占める2型糖尿病は、予備軍を含めると成人の約5人に1人の割合で罹患していると言われる、代表的な生活習慣病です。しかし発症初期の段階では自覚症状がほとんどないため、病気の発見が遅くなることも多いです。本記事では、2型糖尿病を見つけるためにはどのような検査が必要かを解説します!
自宅でも出来る簡単な検査とは?
糖尿病は働き盛りの中高年の方に多いため、「忙しくて病院に行く時間なんてない!」と感じる方も多いと思います。そこで、誰でも自宅で簡単に出来るチェック方法を紹介します。
・体重測定をしてみよう
皆さんのイメージ通り、食べ過ぎや運動不足、ストレスによる肥満は2型糖尿病のリスクとなります。BMIとは肥満度を表す国際的な指標です。下記の計算式の値が25以上だと肥満傾向とされます。「最近外食が多くて、野菜をあまり摂っていないな」「運動をあまりしていないな」という方は自分の体重を把握して計算すると良いでしょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)2、適正体重=身長(m)2×22
また糖尿病は、家族歴も発症と相関があるとされています。家族に肥満の方や糖尿病を患っている場合には、注意が必要です。
・尿糖の測定は有効なの?
尿糖を測定するキットは薬局などでも購入することができ、自宅で簡便に出来る検査です。ただし注意点も多く、例えば、血糖値が高くても尿糖が陰性になる場合があるため、安易な自己判断は危険です。、体質として尿糖が出やすい(腎性糖尿)こともあります。後述しますが、血糖値の検査が糖尿病の検査としては最も有効な検査と言えるでしょう。
クリニックで行うことができる検査とは?
糖尿病という名前から、糖尿病は『糖が尿から出る病気である』と勘違いされがちですが、実際は血中の糖である“血糖”が高くなってしまうことが糖尿病の病態です。尿糖の測定はあくまで”病気の結果”を見ているに過ぎないのです。そこで血糖の糖を調べるには、採血による血液検査が必要となります。簡便な検査ですが、糖尿病の診断項目となっている以下の指標を測定することができます。
血液検査
・HbA1cの ~過去1,2ヶ月分の平均血糖値を反映~
HbA1c(%)とは、血液中の酸素を運ぶことで知られているヘモグロビン(Hb)に、糖が結合した状態の糖化ヘモグロビンが全体のどのくらいの割合で存在するかを表す指標です。血糖値が常に高くなっている糖尿病の患者さんは、必然的に糖化ヘモグロビンの割合が基準よりも高くなってしまいます。測定値は食事時間に影響されないため、来院後にすぐに正確な値を測定できます。異常値は≧6.5%です。
・随時血糖値測定
随時血糖値とは、食事時間とは無関係に測定した血糖値のことです。そのため来院前や検査前の準備は全く必要ありません。≧200mg/dLが異常値とされています。
さらに糖尿病を詳しく検査する場合は
糖尿病と診断された場合には、さらに詳しく精査するための試験を行います。具体的には、血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌量がどれほど低下しているのかといったことや、糖尿病の進行具合を確認することで、どのような薬を処方するのが良いかを調べる必要があります。
・尿中ケトン体の測定
2型糖尿病が進行している場合は、ケトン体と呼ばれる物質が産生され、尿中に排泄されるようになります。ケトン体が出てしまっているということは、糖尿病によりインスリンの分泌される量まで低下している状態を表していて、非常に危険な状態と言えます。そのため、インスリン注射による血糖値のコントロールが必要となってきます。
・血中Cペプチドの測定
Cペプチドとは膵臓からインスリンが生成される過程で出てくるタンパク質のことです。プロインスリンと呼ばれるインスリンの前駆体から、Cペプチド量とインスリンが1分子ずつばらけることでインスリンがホルモンとして働くようになります。つまり、体内で生成されたインスリンとCペプチド量は同量存在するため、Cペプチドを測定することによって、体内で合成されているインスリンの分泌量を推し量ることができるのです。ケトン体と同様に、インスリン注射による血糖値のコントロールが必要かどうかの判断に必要です。
・糖尿病の合併症についての検査
糖尿病は全身性の病気であり、様々な臓器に合併症を引き起こすことで知られています。例えば、糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症は最も一般的な合併症です。また、糖尿病による動脈硬化を調べるために頸動脈エコーやABIといった検査も行うことができます。
生活習慣の乱れが気になる人はまずは受診を
このように糖尿病は進行すると深刻な合併症を引き起こしますが、自分ではなかなか初期の段階で糖尿病だと気づくことはできません。簡単な検査で未然に糖尿病を発見しましょう。MIZENクリニックでは平日夜18時からの夜間診察やオンライン診療を行なっています。忙しい方も仕事終わりなどにご気軽にご相談ください。
参考文献
1 厚生労働省.「平成28年国民健康栄養調査報告」
2.糖尿病診療ガイドライン2019